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303WA-2の動作原理(推測) [アンテナ]

我が家のように狭い自宅に設置するBCLアンテナとして、現在のベストは磁界成分を拾うアクティブ微小ループですが、今の季節だと、エアコンなどがまだ本格的に動いておらずローカルノイズが少ないので、むしろ電界成分を拾うパッシブ形ホイップアンテナのほうが受信状態が良くなる場合があります。そんなわけで、我が家でもApexRadioの303WA-2が今の季節は大活躍です。HFローバンドが得意のようです。
DSC_0095_.jpg
写真左のアンテナのほうが見た目存在感あるけど、こちらはアマチュア無線144/430MHz用のGPアンテナ。この記事の主役は真ん中のアンテナです。
この303WA-2ですが、どうしてこんなにHF帯が良好に受信できるのか動作原理がよくわからない謎のアンテナとして知られています。
参考サイト:kerokeronyororoさん
このアンテナのインピーダンスを受信機側(すなわち同軸ケーブル込み)で測定すると、こんな感じになります。

303WA-2インピーダンス特性(付属同軸ケーブル10m込み・設置状態)
Z=R+jX
303WA-2+付属ケーブル+金具込み+設置状態_Z.JPG
スミスチャート
303WA-2+付属ケーブル+金具込み+設置状態_S.JPG
インピーダンスマッチングは30MHz以下では全く取れておらず、スミスチャートの外周をぐるぐる回るだけになっています。したがって、SWR値だけで評価すると全くダメダメなアンテナということになってしまいます。

同軸ケーブルを短くしてみても、以下のような感じで基本的には変わりません。
303WA-2インピーダンス特性(同軸ケーブル6m込み・設置状態)
Z=R+jX
303WA-2_5mケーブル_Z.JPG
スミスチャート
303WA-2_5mケーブル_S.JPG
同軸ケーブルの長さに依存して誘導性/容量性の入れ替わり周期(すなわちスミスチャートのぐるぐる回転周期)が変わるだけです。要するに、インピーダンスが50Ωに全く合っていない素子を同軸ケーブル経由で測定した場合の典型的パターンです。したがって、同軸ケーブルを介在するとアンテナ本来の特性が非常に見えにくくなっている状態です。

それではということで、303WA-2をダイレクトに測定器(AA-30.ZERO)につないでインピーダンスを見てみます。
303WA-2インピーダンス特性(アンテナ単体)
Z=R+jX
303WA-2_Z.JPG
スミスチャート
303WA-2_S.JPG
Z=R+jXの縦軸拡大
303WA-2_Z拡大.JPG
これはずっと前の記事でも紹介したことがありますが、400kHz付近に鋭いピーク(共振点)があるだけで、あとはなんだかよくわからないのっぺらぼーなインピーダンス特性になっています。
この特性から察するに、150μHくらいのインダクタと1000pFくらいのコンデンサを組み合わせた並列共振回路が入っているように思われます。(値はかなりテキトー)

このインピーダンス特性でどうしてHF帯の電波が良く受信できるのか、理屈がさっぱりわかりませんが、いろいろ考えた末に、下記の点に着目してみました。

・400kHzから18MHz近辺の間は容量性になっている
長い金属エレメントでできたホイップアンテナなので「インダクタ」のイメージがありますが、実はMF~HF帯に限っては「コンデンサ」に見えている、ということです。

ここで「電界成分を拾うアンテナ」「コンデンサ」という2つのキーワードから、もうひとつの不思議なアンテナのことを思い出しました。
PA0RDT Mini Whip
プリント基板を利用した平行平板をプローブにして空間の電界成分を拾い、下記のアンプでインピーダンス変換しながら受信機に送り込む、という形式のアンテナです。
PA0RDT-Mini-Whip_Circuit.jpg
実は、303WA-2もこのアンテナ(PA0RDTミニホイップ)と似たような動作原理なのではないでしょうか。まだ確信を持てる理屈が無いので、あくまでも推測に過ぎませんが、そう考えるといろいろと腑に落ちる気がします。303WA-2もPA0RDTミニホイップも周囲環境の影響を受けやすいアンテナであることが、非常によく似ていると思います。
ということは、上記のアンプ(ソースフォロア+エミッタフォロア)を303WA-2の直下(根元)に入れることができれば、もっと特性を安定させることができるかもしれません。どなたかやってみませんか?
(私は工作下手で面倒くさがりなのでたぶんやらないw)
ちなみに、303WAをノイズキャンセラ用のアンテナとして利用している人もいらしゃるようです。
参考サイト:ApexRadio 303WA
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コメント 1

BCL515

303WA2の記事はとても参考になりました。
私もこのアンテナの動作(原理)が分からないなぁ、と感じていました。

このアンテナを最近はあまり使わなくなりましたが、
ノイズキャンセラーのノイズアンテナとして使うのもいいかな、
と思っていたところです。

(ツイッターもフォローして読ませていただいています。)
by BCL515 (2020-11-23 20:19) 

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