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RTL-SDRでGPS/QZSS受信 [GNSS]

KiwiSDRはHF帯受信機とGPS受信機の2システム構成ですが、メインはHF帯のほうで、GPSのほうはメインを補助するためのサブ受信機の扱いです。したがって、必要最小限の機能しか無く、得られる情報はとにかく下の絵の画面情報だけです。ところが、市販受信機で唯一、みちびき3号機(QZS-3 PRN:199)が受信できるというレアな機能があるため、このブログで何度もご紹介しています。
kiwiSDR_GPS_20180406_.jpg
この画面を連日ながめているのもちょっと飽きてきたので、他に何かQZS-3を受信する方法は無いものか、と考えて、そういえばGNSS専用のSDRソフトウェアがあることを思い出しました。それが「GNSS-SDRLIB v2.0 Beta」です。早稲田大学の鈴木先生が開発されたオープンソフトウェアで、対応しているハードウェアはRTL-SDRやbladeRFなどです。以前に、海老沼先生高須先生もRTL-SDRドングルを使って受信を試されていたことを思い出し、私も初学者の腕試しということでやってみることにしました。
DSC_0091_.jpg
ハード構成はこんな感じ。受信機はSHAFT CORPORATIONで購入したRTL-SDRドングル(R820T2+RTL2832U・TCXO換装品)です。チューナーチップR820T2がディスコンということで、もう売ってないようです。あと、GPSアンテナに電源を供給する必要があるので、先日購入した3.3Vバイアスティーを受信機入力に挿入します。

次に、ソフトGNSS-SDRLIBの準備です。ここで大きな壁がありました。実は、このソフトは最後に更新されたのが3年ほど前で、みちびき(QZSS)4機体制にはまだ対応できていません。いま受信できるのはみちびき初号機(QZS-1 PRN:193)だけです。したがって、追加された3機を受信するためには、ソフトを修正する必要があります。ソースコードもろくに読めないスキルの私でしたが、関係ありそうな部分をヤマカンwで片っ端から修正し、Microsoft Visual Studio Express 2013でビルドしてみたところ、ラッキーなことに特にエラーが出ることなくビルドできてしまいました。関係しているソースコードがあまり多くなかったのが幸いしました。
GNSS-SDRLIB.JPG
上の絵が修正後のソフト画面です。オリジナル版では「QZSS」のところが「Q01」(PRN:193)しかありませんでしたが、自力でQ02(PRN:194)・Q03(PRN:199)・Q04(PRN:195)を追加しました。
ここまで、ハードとソフトが何をやっているかを簡単に書くとこんな感じ。
RTL-SDRドングル:
(1)受信した衛星電波(1575.42MHz)をベースバンド信号(2.048MHz)に変換
GNSS-SDRLIB:
(2)ベースバンド信号を相関器で捕捉(acquisition)して各個別衛星の信号に分離
(3)分離後の信号に乗っている航法データをデコード
(4)航法データをRTCMフォーマットに整形し、ネットワークへストリーム出力

この後は、RTCMフォーマットのデータを扱うことができる測位ソフトを別途準備します。高須先生の「RTKLIB」を使用します。ここまでの手順は、上述した高須先生の日記・備忘録にまとめられています。

さて、GPSとQZSSを受信した結果が以下の絵になります。
GNSS-SDRLIB_RTKLIB_20180414_.jpg
予想以上にうまく受信できているように見えます。使っている型落ちのノートPCではちょっと処理が重たかったので、上の絵ではGPSの受信対象数を絞っています。SNRは30dB前後ぐらいでやや悪いものの、航法データは正常にデコードしており、普通に単独測位(SINGLE)に成功してしまいました。画面右下の相関波形はみちびき4機のものですが、それなりにはっきりと山が見えて相関が取れているのがわかります。J01・J02・J03がそれぞれQZS-1・QZS-2・QZS-4に相当し、J07がQZS-3に当たります。すなわち、みちびき3号機の受信に成功したことになります。ただし、アラートフラグが付いているので測位計算の対象にはできません。
RTKNAVI_GNSS-SDRLIB_20180414_.jpg
上の絵は、GPSとQZSSの衛星をすべて受信対象にしたときのRTKNAVI画面です。QZSS4機すべてとGPSを合わせて15機の衛星を受信し、問題なく単独測位ができています。この中にみちびき3号機(QZS-3 J07)が混じっているというのがうれしいですね。当初の目的達成です。予想以上の結果にビックリです。
本当は、RTL-SDRではなくて、手持ちのRSP1Aなど、もっと性能の良いSDR受信機で試してみたいところではありますが、残念ながら私にはこれ以上のソフト修正ができないので、ここでいったん打ち止めとなります。
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