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KiwiSDRでみちびき初受信 [GNSS]

KiwiSDRが登場しますが、衛星測位(GNSS)カテゴリーのお話です。

KiwiSDRは基本的にVLF~HF帯を受信できるソフトウェア無線機ですが、タイミングクロック生成と時刻情報取得のためにGPS受信機も同じボード上に搭載しています。こちらもソフトウェア無線機(SDR)です。文字通りアメリカのGPS衛星しか受信できない受信機で、ロシアのGLONASS、中国のBeidou、そして日本のみちびき(QZSS)はこれまで非対応でした。したがって、日本では受信できる衛星が少なくなっているため、常時安定した測位を行うのが難しい状況でした。
しかし、日本のQZSSについては信号形式などがGPSと全くのコンパチなので、もしかすると意外と簡単に対応できるのでは、と考えました。そこで、思い切ってソフトウェア設計者にQZSS対応をお願いしてみたところ、快諾していただき、なんとたった2日で修正版をリリースしていただけました。
さっそくソフト更新して受信してみたところ、昨日2/8、みちびき4機のうち3機が正常に受信できました。
KiwiSDR_GPS_QZSS.jpg
上の絵のPRN=193 194 195 がみちびき(QZSS)の信号です。それぞれ1号機、2号機、4号機に相当します。残りの3号機(PRN=199)は、たまたまタイミング悪く障害のため信号停止中でした。しかし、本日(2/9)夕方に信号復帰したとの情報があり、急ぎ確認してみたところ、無事に3号機(PRN199)の信号も受信に成功しました。ニュージーランド在住のソフト設計者のほうでも受信できたという報告がありました。
KiwiSDR_QZSS_PRN199.jpg
そして、以前にも書きましたが、このみちびき3号機については少し特殊な事情があり、他の3機の準天頂軌道と違って静止軌道衛星(GEO)になります。新しく追加された仕様になるため、現在市販されているみちびき対応の受信機やスマートフォン、カーナビなどでは、この3号機の信号(PRN=199)は受信することができません。したがって、市販受信機での受信は今回が世界で(ほぼ)初めて、ということになります。

参考URL:高須氏のページ(測位衛星による高精度測位技術の研究開発 日記・備考録)
http://gpspp.sakura.ne.jp/diary201802.htm
高須さん、ご紹介どうもありがとうございました。

ちょっと余談のほうが多くなってしまいましたが、本題の「日本での衛星受信数を増やしてKiwiSDRを安定動作させる」という目的に寄与することができたので、今日は大満足の1日でした。
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みちびき4機体制 [GNSS]

ここではたまに衛星測位ネタも書きます。
日本独自の測位衛星である準天頂衛星「みちびき(QZS)」は2010年からずっと長いことQZS初号機だけの1機体制でしたが、昨年2017年に新しく3機が追加で打ち上げられ、合計4機になりました。新しい3機(QZS-2/QZS-3/QZS-4)の衛星信号は順次整備され、4機目QZS-4についても先週1/12の夜から試験運用サービスが開始し、ついに4機体制がスタートしました。QZSの衛星信号はアメリカのGPSと信号互換性があり、ちょうどGPS衛星の数が増えたような振る舞いをするので、測位精度がちょっとだけ上がります。(と言っても今のところはせいぜい1m程度ですが…)
日本からオーストラリアの周辺上空に8の字を描く衛星軌道です。1機体制の時は日本では昼間だけしか受信できませんでしたが、4機体制になって変わりばんこで周回するので、24時間必ずどれかのQZSの信号が受信できることになります。
というわけで、4機体制になった記念に、先日届いたGNSSモジュールNEO-M8Tで新しいみちびきの信号を受信してみました。
DSC_0063_.jpg
下の絵の左がスカイプロットの画面です。(小さいのでクリックして拡大)
GPSやBeidou、Galileoの衛星に混じってQ1・Q2・Q3と3つ見えるのがみちびき(QZS)です。右側のグラフにも日の丸が3個見えますね。先週まではずっと2個だったので、3個になるのは初受信です。
u-center_NEO-M8T_20180115.JPG
あれ? 4機体制のはずなのにもう1機はどこへ行った?
実は、残りの1機は、いま市販されている受信機やスマートホンなどでは仕様が古くてまだ受信できないらしいのです。上の絵のQ1・Q2・Q3はそれぞれ
Q1 = QZS-1号機(J01)
Q2 = QZS-2号機(J02)
Q3 = QZS-4号機(J03)
に相当し、ちょっと番号がずれています。残りの1機QZS-3号機は、新しい仕様の関係から、(J07)というちょっと離れた番号に割り当てられているそうです。
んで、さらにこの3号機だけは、上に書いた準天頂の8の字軌道ではなく、赤道上空に止まった静止衛星(GEO)になっています。日本からは24時間常に見えていることになります。ちょっと鬼っ子の存在ですね。この3号機が受信できるようになるのはまだしばらく先になりそうです。
(注) この記事はあまり詳しくない人向けに書いています。少し不正確な表現もあるかと思いますが、有識者の方、ご容赦ください。
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RTK測位するならNEO-M8T + RTKLIB [GNSS]

トラ技2018年1月号「全国で1cm測位!RTK-GPS」特集の特設サイトができてますね。
RTK測位が体験できるスターターキットも販売されてますが、早くも在庫切れになるなど、けっこう盛り上がっているようです。しかし、スタータキットが1台2万円オーバーとは、趣味でやるにはちょっとお高いですね。移動局と基準局をそろえるとなるとけっこう大変です。まあ基準局サーバを使うこと前提ならば1台でも大丈夫ですが。
なぜこんなに高いかというと、独自のRTK測位エンジンが内蔵されているu-blox社のNEO-M8Pというハイエンドな受信モジュールを使っているからです。確かにこれを使えば比較的簡単に、高精度の衛星測位が体験できますが、あまりユーザーがいじれる要素が少ないので、一度動かしてしまうとやることが無くなってしまいます。人によっては物足りなくなるでしょう。
トラ技本誌でも触れていますが、実はもっと手頃なコストの受信モジュールでもRTK測位することが可能です。有識者の間では、NEO-M8Tという受信モジュールと測位エンジンソフトRTKLIBの組み合わせが今のトレンドです。というか、むしろこちらのほうが(今のところ)性能が良くて自由度も高いので絶対におすすめです。
NEO-M8Tの評価ボードは、例えば下記の通販サイトで買えます。75ドルです。
UBLOX NEO-M8T TIME & RAW RECEIVER BOARD WITH SMA (RTK READY)

さらにさらに、オトクな情報 (1度しか言わないですよーw)
実はu-blox社の1世代・2世代前の古い受信モジュールでも、一部にRTK測位可能なものがあります。代表的なものはNEO-6Mです。メーカー非公認の裏コマンドを叩くことにより、RTK測位に必要なrawデータ(UBXフォーマット)を吐かせることができます。これをRTKLIBに食わせることでRTK測位ができてしまいます。ただし、この世代のモジュールはマルチGNSS非対応なのでGLONASSやBeidouは受信できず、米国のGPSのみの受信となります。受信できる衛星数が少ないので、性能的にはちょっと不利です。
NEO-6Mは秋葉原のaitendoや、Amazonのショップで2000円程度で入手できます。まだまだ健在ですね。
私自身はMAX-7QというモジュールとラズパイでRTK測位を楽しんでます。これはGPS以外にQZSS(みちびき)も受信できます。NEO-M8Tも近日入手予定です。
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中波ディファレンシャルGPS局 [GNSS]

KiwiSDRを使って中波帯ディファレンシャルGPS局を受信してみました。
ディファレンシャルGPS局とは、GPSの測位精度を向上させるための
補正情報を配信している無線局です。海上保安庁が日本沿岸の船舶向けに
運用しています。
http://www.kaiho.mlit.go.jp/soshiki/koutsuu/dgps/

受信局:309.0kHz 剱埼局(神奈川県三浦市)
デコードソフト:KG-DGPS Ver.1.0.0
オーディオループバックソフト:NETDUETTO β2 Ver.2.0.3
(KiwiSDRの受信音をデコードソフトへ受け渡す役目)

当地ではこの他に、321.0kHzの浦安局(千葉県浦安市)が受信できます。

中波帯を使ったこの配信サービスですが、2019年3月1日に廃止される
ことがすでに決まっています。灯台放送の廃止に続いて、昔ながらの
業務無線局が消えようとしています。寂しいですがこれも時代の流れですね。
受信するなら今のうちなので、お早めにどうぞ。
KiwiSDR_DGPS.JPG
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トラ技1月号「GPS RTK測位」特集 [GNSS]

「トランジスタ技術」2018年1月号は久々のGPS特集でした。
GPSと言うと、最近では準天頂衛星「みちびき」の話題のほうが一般的
には認知されているはずですが、それには目もくれず「RTK測位」に
フォーカスを当ててきた、というところが、実は非常に画期的なこと
なんです。さすがに「トラ技」はまだ見る目を失っていなかった、
というところかなw
DSC_0051_.jpg
「RTK測位方式」は、現時点では一般の人がセンチメートルレベルの
高測位精度を体験できる唯一の方法です。カーナビやスマホにはまだ実装
されておらず、雑誌で紹介されている受信モジュールを使う必要があります。
基準局が別途必要な「相対測位」であることがネックですが、インター
ネット等から基準局データを供給してあげる仕組みが構築されたおかげで
かなり簡単に利用できるようになりました。
センチメートルレベルの高精度測位だったら確か「みちびき」でもできる
のでは、と思われる人もいそうですが、実はニュース等で報道されている
内容は「まるっきりウソではないけれど、ちょっと話盛りすぎ」な側面
があるのです。現時点では高価な受信機が必要だったり、まだ検証実施中
だったりするので、高精度測位実現にはまだまだ程遠い段階です。
(閑話休題)
RTK測位エンジンとして有名な「RTKLIB」というソフトがあるのですが
このソフトの主要部分だけを抜き出してコンパクトにしたソフト
「RTKcore」が付属のCD-ROMに収録されています。これはけっこう
貴重なお宝ソフトになるかもしれません。期待大です。さっそく後日に
試してみたいと思います。
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